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ワクチン接種と労働力回復の関係~ILO資料(2021/11/24)

ILO(国際労働機関)は、2021年6月に発刊した定期刊行物『World employment and social outlook: Trends 2021(世界の雇用及び社会の見通し:動向編2021年版・英語)』 で、「2021年に世界の総実労働時間はコロナ禍前の水準(2019年第4四半期)を3.5%下回り、フルタイム職換算で1億人分の減少に相当する」と予測していました。ところが、10月に発表した資料『ILO monitor: COVID-19 and the world of work. Eighth edition(新型コロナウイルスと仕事の世界ILOモニタリング第8版・英語) 』では、その予測よりもさらに2,500万人分相当の労働時間の減少・4.3%を下回る水準になると改められました。

その理由として、先進国と途上国の回復速度が異なることが原因といわれており、「2019年第4四半期比で見た2021年第3四半期の総実労働時間は、高所得国では3.6%減に留まるのに対し、低所得国では5.7%減、下位中所得国では7.3%減に上ります。地域別で見ると、減少幅が最も少ないのは欧州・中央アジアの2.5%減であり、これにアジア太平洋(4.6%減)が続きます。一方、アラブ諸国の減少幅は6.5%減、アフリカ5.6%減、米州5.4%減となっています。」と報告されています。

そして、このような大きな差異は、主に、「ワクチン接種の展開と包括的財政刺激策における主な違い」によるものであり、2021年第2四半期の推計によれば、ワクチン接種を受けた人が14人増えるたびに世界の労働市場にはフルタイム労働者が1人加わったのと同じ効果があり、ワクチンがまったくなかった場合の減少幅は6.0%であったと分析されています。

また、ILOは、「低所得国のワクチン入手機会がより平等になれば、3か月ちょっと程度で労働時間の回復が富裕国に追いつく」との見解を示しており、これらの調査から、ワクチン接種が労働力の回復に一定以上効果があるということがわかりました。

【ILO資料「コロナ禍の雇用に対する影響は予想より深刻」】

https://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_824110/lang--ja/index.htm