旅館業法が改正されています~カスハラは宿泊拒否も(2024/1/7)
◆改正の背景
旅館業の営業者は、公衆衛生や旅行者等の利便性といった国民生活の向上等の観点から、一定の場合を除き、宿泊しようとする者の宿泊を拒んではならないとされています。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行期において、①宿泊者に対して感染防止対策への実効的な協力の求めを行うことができない、②いわゆる迷惑客について、営業者が無制限に対応を強いられた場合には、感染防止対策をはじめ、本来提供すべきサービスが提供できない、などという営業者からの意見が国に寄せられました。
こうした情勢の変化に対応して、旅館業法等の一部を改正する法律が成立し、令和5年12月13日に施行されました。
◆改正のポイント
改正の主な内容は以下の通りです。
1 宿泊拒否事由の追加
2 感染防止対策の充実
3 差別防止の更なる徹底等
4 事業譲渡に係る手続きの整備
注目したいのが1の項目です。今回の法改正で、宿泊を拒むことができる事由として「特定要求行為が行われたとき」が追加されました。特定要求行為とは、カスタマーハラスメントに該当する行為等を指し、その例として、❶不当な割引、契約にない送迎等、過剰なサービスの要求、❷対面や電話等により、長時間にわたり、不当な要求を行う行為、❸要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が不相当なものなどが挙げられます。他方、障害のある方が社会の中にある障壁の除去を求める場合や、障害を理由とした不当な差別的取扱いを受けたことへの謝罪等を求めることは、これに当たりません。
プライベートはもちろん、コロナ禍で控えていた出張を再開した企業も増えています。旅先で従業員が不測の事態に陥ることのないよう、今回の改正を周知し、宿泊者もサービス提供者も、誰もが気持ちよく過ごせるよう心がけていきたいですね。
【厚生労働省「令和5年12月13日から旅館業法が変わります!」】
https://www.mhlw.go.jp/kaiseiryokangyohou/