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「改悪」で気になる遺族年金制度見直しの方向性(2024/8/17)

◆遺族厚生年金の「男女差」是正

 先月、『遺族厚生年金の「男女差」是正』が報じられ、SNS上で「遺族年金改悪」などの投稿が急増していますが、誤解されていると思われるものも少なくないため、どのような誤解があるかを整理します。

 

◆「遺族年金は一律5年間の有期給付に」は誤解

現行の遺族年金は、妻を亡くした夫が55歳未満だと受給権がなく、夫を亡くした妻が30歳未満だと給付は5年のみ、30歳以上なら無期給付、という仕組みです。

7月30日の社会保障審議会年金部会で了承された改正案は、60歳未満で遺族厚生年金を受け取る際の要件における男女差の改正を目指すもので、5年間の有期給付となるのは2050歳代の子がいない配偶者です。

ところが、現在受給している人や60歳以上の高齢期の配偶者死亡のケースも対象になる、との誤解があります。

 

◆「2050歳代の子がいない配偶者はすぐに有期給付化」は誤解

 同案では、有期給付化される2050歳代の子がいない配偶者が夫の場合、「施行日から新たに有期給付の支給対象に」なるとされています。一方、妻の場合は「有期給付の段階的拡大」とされ、「現行制度における30歳未満から段階的に引き上げる」「現行制度を前提に生活設計している者に配慮する観点から、相当程度の時間をかけて段階的に施行する」とされています。

つまり、夫と妻とでは有期給付化のタイミングが異なるのですが、誤解があります。

 

◆議論がまとまるのは年末

 改正の方向性で示された内容は、いわゆる「年収の壁」問題など多岐にわたり議論は続きます。年末までにまとめ、早ければ来年の通常国会に関連法案が提出される見通しです。

【厚生労働省「第17回社会保障審議会年金部会」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20240730.html